やまざきクリニックからのお知らせ

アトピーっ子

やまざきクリニックでは、私自身と子供のツラい実体験をもとに、漢方治療を軸としたアトピー性皮膚炎の治療を行っています。

受診されたアトピーの患者さま用に作成した冊子(アトピーっ子)がありますので、それの一部をご紹介させていただきます。


私は皮膚科が専門ではありませんが、アトピーに関しては一般の皮膚科医より専門医だと自負しています。何故なら…

自分がアトピー患者でもあるからで、そのツラさを痛いほど分かっているからです。

私は、もともとアレルギー体質でありまして時々蕁麻疹がでることがありましたが、軽症で特に気にも留めていませんでした。ところが名大病院勤務時代に全身性のひどいアトピーが突如発症しました。その原因は過労ストレスであったと思います。蕁麻疹が良くなったなあと思っていたらそれが化けてアトピーになったのです。いわゆるアレルギーのマーチですね。

首、両肘膝を中心に全身に広がったアトピーは、最強のステロイドでも歯がたたず、全身は真っ赤にジュクジュクと腫れ上がり、顔以外は包帯でグルグル巻きで、ガーゼには黄色の汚い汁がいつもベットリとついていました。診療中はステロイドの飲み薬で痒みを抑え、きれてくると猛烈なカユミ。その度に頓服のくすりで抑え…。夜が恐かった。突然襲ってくる全身のカユミで眼がさめ、気が狂うかというほどの強烈な痒みにこれまた気が狂うかと思うほど掻きムシり、気がつくと布団のシーツは血だらけで汁が飛び散っている。冬の凍りつくような寒さのなか、体が凍りつくかと思うほど冷たい水をかぶりやっとかゆみが少し納まり、これで寝ることができると思って寝付くとまた激しい痒みに襲われ冷水をかぶる。一晩に5回も酷寒い中に冷水浴をしたことがある。

そして首や腕などのアトピーが人目につくコトが気になって仕方が無く、夏でもタートルネックなどを着て極力人目につくのを嫌った。別に何か悪いことをしているわけでは無いが、人の視線が湿疹に注がれたり、「どーしたのその湿疹は?」とか「ヒドイね〜アトピー」などと云われるコトがとても嫌であった。心無い一言にエラく傷つき、何か自分ひどく大きなハンディキャップを負っているかのように思えて仕方がなかった。経験したことがないと絶対に分からないあの狂ったように襲ってくるひどい痒みやその醜い容貌に耐えられずトンネルの出口が見えない現実を悲観し自殺してしまうということは、理解できる気がした。それくらいひどいアトピーという病気は人間を変えてしまうのです。一向に治らない、いや益々ひどくなっていく、塗るだけの西洋医学に見切りをつけ、漢方に全てを託しました。

肉や揚げ物などのコッテリした食事、乳製品や甘いモノを一切止め、偏った食生活を徹底的に改め、運動をして、漢方を飲み始めると嘘のようにスーッとアトピーが消えていきました。正しい生活養生と漢方治療に救われたのです。その後に皮肉にも自分の息子たちもアトピーとなりましたが、漢方と生活養生で改善しました。ひどくならずにすんでいます。そして今もステロイドも時には必要ですが、それだけに頼る治療が如何に間違っているかというコトがよく分かりました。

私がアトピー治療に情熱を注ぎ込むワケは、私自身がこの病気に苦しみ、地獄のようなカユミを体験しているからこそ、患者さんの気持ちが痛いほどわかってあげることができるので、何とかアトピーで苦しんでいる人の役に立ちたいという強い思いからです。あの狂ったように襲ってくるカユミやアトピー患者であるといった心理的ハンディキャップ、そしてどうするとカユくなるのか、どうするとカユく無くなりアトピーを悪化させずにうまく付き合うことができるのか?等々は絶対に経験した人にしか分かりません。私のように成人型アトピーで悩んでいる方、子供さんがアトピーで悩んでいるご両親。その両方の立場を身を持って経験している私にはそのツラさ、苦悩が手にとるように分かります。

アトピーで有名であっても、自身はその経験の無い医師が色々とあたかも分かっているかのように色々と講釈をたれますが、私は生きた経験で得られた、それこそまさしく「肌で感じた」言葉を患者さんにかけてあげることができるのです。「ガンの患者さんの本当の気持ちは医者がガンになった時に初めて分かる」とよく言われますが、アトピーの場合も同じだと思います。生きた治療、生きた言葉の指導を出来ると自負しております。

現在でも私のアトピーは両肘・膝と頚部に薄っすらと残り、時折疲労やストレスでアトピーが出ることもありますが、以下に述べるような養生をしているお陰で以前のようにひどく悪化することなく軽く済み、決して悪化することなく快適な状態でいられることができるようになりました。アトピーという病気は、キレイに治った!と思っていても何かの拍子に再燃するといったことも多く、完治するということは難しいと思います。そこがアトピー体質といわれる所以かと思います。

食物汚染、化学物質、内分泌霍亂物質や環境汚染からくる公害病であり、生活習慣病でもあり、心身症でもある原因が多種多様に渡るアトピーを完治することは難しいですが、良い状態を保ち、悪化させなければ決して不快な思いはしなくて済む病気だと思います。ひどくさせない…そこが一番大切だと思います。

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